しにあせん これまでの入選作品



 2017年6月入選作品


自 由 吟

年寄りが増えたとぼやくお年寄り よもやま話(奈良県宇陀市・73歳)
あの野暮にとても美人の妻がいる 沢田正司(愛知県常滑市・79歳)
散歩して美人に抜かれ追いつけず イカケヤ(名古屋市緑区・65歳)
元くびれここいらだったと鏡見る 鴨井喜子(福島県会津若松市・70歳)
逆光で写して欲しい今はもう 長崎正子(東京都三鷹市・73歳)
初恋がかすかに光るクラス会 浅見忠司(東京都三鷹市・67歳)
茶葉が立ち無駄に期待を抱かせる 坂本孝子(東京都豊島区・年齢不詳)
寝ていたら果報は来ずに訃報くる はぐれ雲(東京都西東京市・67歳)
連休に雨乞いしてるひとり者 荘子 隆(宮崎県宮崎市・66歳)
一人暮らし灯りともりて無事を知る 池田知子(東京都三鷹市・69歳)
百均でいつも爆買いしてしまう 真田義子(仙台市太白区・72歳)
支え合いながら生きてる枯落葉 中村百合子(東京都板橋区・85歳)
関白の夫今ではぬれ落ち葉 吉澤康裕(東京都豊島区・74歳)
月光を使いきるまで口げんか 小山洋子(東京都三鷹市・77歳)
あと僅か写経間違え書き直す 長戸康孝(さいたま市北区・68歳)
反骨が半骨になり骨粗鬆 高木正明(さいたま市中央区・81歳)



課 題 吟 「退屈」  

革靴も欠伸している定年後 亀津房子(東京都大田区・67歳)
定年後退屈しのぎに主夫をする 長戸康孝(さいたま市北区・68歳)
退屈と妻に言ったら風呂掃除 茶唄鼓(広島県福山市・年齢不詳)
妻と来てデパートの椅子温める 石田達夫(千葉県市原市・65歳)
退屈があくびしている弐千圓 荘子 隆(宮崎県宮崎市・66歳)
見るからに退屈そうな古書店主 沢田正司(愛知県常滑市・79歳)
退屈で仕方がないと友と会い 長嶋昭美(横浜市緑区・85歳)
長々と過去の栄光聞かされる 表 明子(東京都新宿区・67歳)
坊さんの講話長くてこっくりこ 比良正弘(川崎市中原区・87歳)
退屈を日向ぼっこにさらしてる 松永成三郎(千葉県船橋市・83歳)
座りこみ蟻の行方をじっと追う 鴨井喜子(福島県会津若松市・70歳)
退屈という芽を摘んでボケ防止 柳谷益弘(静岡県駿東郡・75歳)
認知症おなじ話に日も暮れる 吉沢かおる(東京都中央区・64歳)
退屈が過ぎてストレス抱え込む 風間なごみ(山梨市甲府市・77歳)
病室の天井見つめ日を過ごす 長島秀治(千葉市中央区・78歳)
退屈だ三度言っても治らない 岡田久男(東京都大田区・78歳)
外からの陽射しを追って日が暮れた 國定伊代子(東京都千代田区・77歳)
贅沢に時が流れる退屈さ 岩窟王(さいたま市大宮区・72歳)
添え書きに退屈ですと太く書く よもやま話(奈良県宇陀市・73歳)
雨の日の電話退屈そうに鳴る 真田義子(仙台市太白区・72歳)
退屈に付き合い時計怠けてる 橋本勝三(埼玉県所沢市・69歳)
老夫婦退屈凌ぎ寺社巡り 木村忠信(東京都豊島区・77歳)
退屈な顔がぶらぶら散歩道 藤井敬三(東京都稲城市・76歳)
モコモコと退屈そうな羊雲 萩原倫子(東京都千代田区・71歳)
退屈をしのぐ気力は犬に負け イカケヤ(名古屋市緑区・65歳)
帰っても退屈だけど帰りたい 安藤昌之(千葉県浦安市・70歳)
雨の日も退屈しない孫相手 福村まこと(京都市下京区・73歳)
寝ていてもテレビを消すと起きる人 山岸由美子(東京都中央区・年齢不詳)
退屈だ妻の顔みて憂鬱に 長田博昭(東京都葛飾区・72歳)
退屈な人と言われて50年 横山閲治郎(兵庫県西宮市・66歳)