しにあせん これまでの入選作品



 2017年3月入選作品


自 由 吟

クラス会光る頭を笑い合い あめんぼ(東京都稲城市・76歳)
若づくりしてしても乗客すぐに立ち 中村百合子(東京都板橋区・85歳)
この声も風呂で歌えばひばり級 加藤陽子(東京都港区・39歳)
湯けむりの中に呑気な顔がある 浅見忠司(東京都三鷹市・67歳)
ひょっとして気配静かで風呂覗き 長崎正子(東京都三鷹市・年詠不祥)
ストレッチ婆のポーズに孫が吹く 鴨井喜子(福島県会津若松市・70歳)
転び方上手になって老いを知る 真田義子(仙台市太白区・71歳)
手術後の湯冷まし含みまた生きる 池田知子(東京都三鷹市・69歳)
退院のこんなに弾む靴を履く 風間なごみ(山梨市甲府市・年齢不詳)
米寿過ぎ力仕事は妻の役 葛西文夫(埼玉県朝霞市・89歳)
どっこいしょ始めと終わり座りたち 江口 徹(埼玉県春日部市・69歳)
三食のおかずは小言嫌み付き 高木正明(さいたま市中央区・80歳)
それとなく嘘でとりなすできた嫁 杉山鈴谷(東京都豊島区・81歳)
妻のうそ知らない振りで聞き流す 笠原たかし(東京都豊島区・76歳)
補聴器でひそひそ聞こえ知らんぷり よもやま話(奈良県宇陀市・73歳)
冷房も数年いらず冷えた仲 小池ぼっ茶(埼玉県上尾市・年詠不祥)
湯たんぽの代わり亭主のごつい足 斉藤道子(東京都三鷹市・65歳)
鬼は外福も一緒に逃げて行く 沢田正司(愛知県常滑市・79歳)


課 題 吟 「暇」  

さっき見た時計また見てあくびする 鴨井喜子(福島県会津若松市・70歳)
お暇かと妻に問われて身構える 藤井敬三(東京都稲城市・76歳)
あら不思議貧乏なのに暇がある 橋本勝三(埼玉県所沢市・69歳)
余暇よりもお金が欲しい老後です 松永成三郎(千葉県船橋市・83歳)
商店街うわさ話を買いに行く 亀津房子(東京都大田区・67歳)
カレンダー白いまんまで月終わる 表 明子(東京都新宿区・67歳)
暇なのに日曜だけは忙しい はぐれ雲(東京都西東京市・67歳)
暇あればあるほど伸びる無精髭 福村まこと(京都市下京区・72歳)
暇なのを余裕と言って見栄をはる 安藤昌之(千葉県浦安市・70歳)
暇な日にどの祭壇か選っておく よもやま話(奈良県宇陀市・73歳)
ケンカする相手亡くして日は長し 落犀庵(広島県福山市・63歳)
ハッピーアワー暇は黄昏一人酒 山岸由美子(東京都中央区・年齢不詳)
暇あるかあるよと応え飲み会に 木村忠信(東京都豊島区・77歳)
暇人と見られ誘いが絶え間ない 沢田正司(愛知県常滑市・79歳)
暇つぶしテレビみながら昼寝する 長田博昭(東京都葛飾区・71歳)
暇過ぎて掃除洗濯やっつける 風間なごみ(山梨県甲府市・年齢不詳)
釣り人の後ろでじっと釣果待つ 長島秀治(千葉市中央区・78歳)
暇はある体も元気銭が無い 松本紀代子(千葉県我孫子市・年齢不詳)
定年を境に逆転暇とカネ 氷川の杜(さいたま市北区・68歳)
九十歳長生きの本読みあさり 比良正弘(川崎市中原区・87歳)
暇すぎて何も手つかず老化日々 長嶋昭美(横浜市緑区・85歳)
多岐な趣味暇の字がない妻の辞書 美川州平(神奈川県相模原市・84歳)
暇な夜にトロトロトロ火豆を煮る 萩原倫子(東京都千代田区・71歳)
徘徊と思われないか暇つぶし 柳谷益弘(静岡県駿東郡・74歳)
徘徊じゃないと蛍光ベスト着る 荘子 隆(宮崎県宮崎市・65歳)
映画見る暇はあるのにメールなし 真田義子(仙台市太白区・71歳)
トランプのニュース息つく暇もない 吉沢かおる(東京都中央区・64歳)
忙しく見せようとする暇な医者 葛西文夫(埼玉県朝霞市・89歳)
手間暇を掛けて魅せます日本製 石田達夫(千葉県市原市・65歳)
暇は来た共には来ない軍資金 遠藤康彦(千葉市稲毛区・年齢不詳)
「暇を出す」むかし言葉の思いやり 岡田久男(東京都大田区・78歳)
忙は外願いを込めて暇は内 國定伊代子(東京都千代田区・77歳)
高齢者朝昼夕と雪下ろし つや姫(山形県鶴岡市・80歳)
夏季冬季土日有給日々休暇 岩窟王(さいたま市大宮区・72歳)