しにあせん これまでの発表作品



 2017年1月発表作品


自 由 吟

お茶でもと誘った客はいまの妻 伊藤真知子(東京都豊島区・年齢不詳)
金婚に客が褒めるは妻ばかり 杉山鈴谷(東京都豊島区・81歳)
塩分や糖分薄い冷めた仲 高木正明(さいたま市中央区・80歳)
減塩に隠れてそっと醤油足し 長崎正子(東京都三鷹市・年詠不祥)
嫌なこと忘れるのにも要る力 葛西文夫(埼玉県朝霞市・89歳)
余り物入れる我が家の隠し味 山崎三知恵(東京都三鷹市・70歳)
レトルトの味で老後を生きている 浅見忠司(東京都三鷹市・67歳)
俺たちに明日はあっても金がない 荘子 隆(宮崎県宮崎市・65歳)
五輪旗が金かねカネに見えてくる よもやま話(奈良県宇陀市・73歳)
来年も生きてるようなプランたて もず吉(大阪府堺市・84歳)
廃線が決まり人気の出た路線 沢田正司(愛知県常滑市・79歳)
観客の寝息も混じるラブシーン 坂本孝子(東京都豊島区・年齢不詳)
あの世まで行かねば逢えぬ友が増え よもやま話(奈良県宇陀市・73歳)
墓なくて工夫の果てが樹木葬 高木 勇(神戸市垂水区・65歳)
おもてなしするもされるもきつい齢 中村百合子(東京都板橋区・85歳)
見舞客患者さんより弱ってる 松田千代子(東京都豊島区・74歳)
忘年会ホントに忘れた帰る道 きり星大根(島根県出雲市・62歳)
すっきりと昨日の悔いを洗うお茶 真田義子(仙台市太白区・71歳)
サンタさん信じる孫は宝物 鴨井喜子(福島県会津若松市・70歳)


課 題 吟 「平凡」  

正月は夢一杯の幕開けだ 比良正弘(川崎市中原区・87歳)
幕が開き謹賀新年また同じ 國定伊代子(東京都千代田区・77歳)
母の紅をさして始まる一幕目 吉沢かおる(東京都中央区・64歳)
豊洲から小池劇場幕が開く 安藤昌之(千葉県浦安市・70歳)
幕が開き長期公演五輪劇 岩窟王(さいたま市大宮区・72歳)
横文字で煙幕を張る新都知事 藤井敬三(東京都稲城市・76歳)
お騒がせトランプ外交幕上がる 松本紀代子(千葉県我孫子市・年齢不詳)
黒幕に大統領が操られ 石田達夫(千葉県市原市・65歳)
銀幕のスターアニメにさらわれる 川上芳信(栃木県宇都宮市・65歳)
天皇も幕引きの時期儘ならず 美川州平(神奈川県相模原市・84歳)
幕の内どこか素朴な味が好き 萩原倫子(東京都千代田区・71歳)
拍子木を妻が叩いて幕が開き ほろ酔い(島根県隠岐郡・66歳)
幕上がる前の一瞬時止まる 外村さおり(千葉県佐倉市・60歳)
職退いて幕間長く妻怒る はぐれ雲(東京都西東京市・67歳)
テレビ点け夫婦喧嘩の幕を引く 岡田久男(東京都大田区・78歳)
遺産分け一人が怒り幕となる 葛西文夫(埼玉県朝霞市・89歳)
言い勝ってあと味悪く幕を引く 亀津房子(東京都大田区・67歳)
老いふたり今日も喜劇で幕を閉じ 沢田正司(愛知県常滑市・79歳)
幕引きが下手な吾輩恋に落ち 長嶋昭美(横浜市緑区・85歳)
人生の幕をおぎゃあがこじ開ける 橋本勝三(埼玉県所沢市・69歳)
クラス会舟木一夫でフィナーレに 鴨井喜子(福島県会津若松市・70歳)
アンコール幕が開いたらお辞儀だけ 長田博昭(東京都葛飾区・71歳)
繁盛店漏れた内幕火の車 木村忠信(東京都豊島区・77歳)
幸不幸幕一枚で仕切られる 羽賀壽子(千葉県我孫子市・年齢不詳)
幸せを数えて今日の幕下ろす 表 明子(東京都新宿区・67歳)
幕引きはいつ来るのかと老いを生き 松永成三郎(千葉県船橋市・83歳)
終幕を飾って散らす花吹雪 山岸由美子(東京都中央区・年齢不詳)
人生の終わりに張った鯨幕 柳谷益弘(静岡県駿東郡・74歳)
マイウエイ笑ってあばよするつもり 風間なごみ(山梨県甲府市・年齢不詳
幕間のロビースマホの花が咲く 福村まこと(京都市下京区・72歳)
行間と幕間の語る描写力 遠藤康彦(千葉市稲毛区・年齢不詳)
谷越えて山を越せずに閉じる幕 よもやま話(奈良県宇陀市・73歳)
幕内も幕下もみな相撲取り 荘子 隆(宮崎県宮崎市・65歳)
第二幕きっと私は立ち上がる 真田義子(仙台市太白区・71歳)
つかの間の夢に幕引くジャンボくじ 落犀庵(広島県福山市・63歳)
新年へカウントダウン響くゼロ 長島秀治(千葉市中央区・78歳)
紅白の幕を下ろして年も暮れ 横山閲治郎(兵庫県西宮市・66歳)